そんな事もありました

金曜日のクリニックの帰宅途中

自宅の最寄り駅を出てチャリに乗りしばらく走ると歩道に倒れている人が…。

あの日は雨が降り道は濡れていて、その時も小雨が降っていた

遠くから確認できたのだが側を通る人は皆

その白髪混じりの男性を怪訝そうに見はするのだが立ち止まる人は誰もいない

男性は生きているのかどうなのか

私は娘のバレエがあったので迷ったが少し行き過ぎた所でチャリを止めた

携帯で警察に電話した

処番地を言って名前を言う

その頃になると立ち止まる人も出てきて私と数名が男性の状態を確認

酒臭いだろうと踏んでいたのだが分からなかった

横向でくーくーと寝ていたので気道確保は出来ていると判断

チャリに乗って私に近寄り話しかけた人はその男性が寝ている歩道の前の店の人だった

なので娘のお迎えがある事を告げ警察が来てくれるはずだからと後を託した


あれは今のクリニックに繋がって何年か経った時だっただろうか?

かなり昔でハッキリとした年月は忘れたが

診察室の前の点滴の場所に当時、本当に小さな部屋があり

クリニックでのACグループがあった頃だ

私はそのクリニックのACグループに向かう途中で道に倒れている男性を発見した

場所は自宅の最寄り駅でなくクリニックの付近だったのだが

この時も金曜日も大通りに面した歩道だと言うのに誰もどうにもしなかった

当時、携帯なんてまだ庶民は持ってなくて私は公衆電話を探して警察を呼んだ

寝ていた男性は酒臭かった

それから少しミーティングの時間を過ぎてクリニックに到着したが

心ここにあらず

実家にいた時の母の飲んだくれて倒れている場面と重なった

私はその時とても怖かった

体が小さく震えていた

感情はかなりブレていたが当時のワーカーや仲間には笑い話しにして話した

自分があんなに動揺するなんて思わなかったから道端に転がる男性に声をかけたのに

実際の私はこんなもん

小心者で臆病で、なのに自分は強いと思って生きていた

自分を見つめ直す作業を始めてから私の作り上げてきた私像が崩れ出した

自分の弱さを認めるのにはまだまだ時間がかかった

他者に助けを求める事と甘える事の違いはあれから10年程経つが

やっぱり未だに分からない

難しいね