やり切れん

昨日に引き続きパパが
「ガソリン代ないからカード貸して」

と朝になって言った

私は昨日と同じく
「嫌。会社の(金の)事は会社でして」

パパはしばらく真っ暗な部屋で着替えの手を止めて溜め息

私は
「食パン焼いたの冷めるで」

とイライラしながら言う

仕方なしと言った様子で食べ始めるパパ

何度も何度も深い溜め息をつきながら


ようやく食べ終え会社に行こうとした時
「どうしてもアカン?」

と聞くからさっきの答えを繰り返した


昨夜、自作した弁当をカバンに詰めながらパパは荒れだした

カバンのチャックを閉めようと引っ張ったが力任せにやって引きちぎった

私は
(あぁ、高いカバンやったのに…。せっかく唯一のブランド物やったのに…。)

と思った

でもチャックだけでは終わらなくて床にカバンごと放り投げる

900mLのペットボトルに入れてあるお茶は凍らせてあるので

娘の部屋と玄関の床に穴が開いた

そして家を出たがすぐ戻ってきて

弁当箱はぐちゃぐちゃに割れててパパは弁当箱ごとゴミ袋に突っ込む

弁当箱にしてたタッパーウェアは100均だったけど

便利のよい大きさで重宝してた


そして
「昨日ガソリンの赤ランプ1日ついてたのに!!」
「俺はどうしたらええねん!!」

と絶叫しながらカバンを修理不能なくらい引き破った


パパは私達に行ってきますでなく
「バイバイ!!」

と出て行った

私は死ぬつもりか!?と不安になったが放っておく事にした

今までなら私は泣き叫びながらカバンを破ったり床に穴を開けるのを

阻止したと思う

でも今回は顔をしかめただけだった

娘が怯えてたら大変だから抱きしめて
「あんたは何も悪くないからな」
「怖い思いさせてごめんな」

と言うと
「いや、パパうるさいなーってムカついてただけ」
「聞こえてたで。ガソリンないとか」

私が落ち着いてて良かったようだ


でも私は娘の前で膝を抱えて泣いた

パパが破った鞄はポールスミスで若い時からパパが好きなブランドだ

服は太って細身ばかりなので入らないが鞄ならまだ持てる

私が昔パパの為に考えて選んであげた物

こんな形で使えなくなるなんて…。

今のとこスリップしてないが意気消沈なり…。