葬式という儀式3

マンションの横での拾骨は商店街にも近いのであまりにも人目につく
「人目につかない所どこかないですか?」
と聞いたら火葬した場所まで乗せていってくださった

前の賃貸マンションのもっと奥に電車どおりがある
そこで火葬していただいたとの事だった
ここで拾骨をすることになった

「全然人がこなくていい場所でした」
とおっしゃった。

釜の戸が開けられてボクが見えた
骨になったボクをみた時は涙は出ず
あぁ、本当に死んだんやな
と冷静さが出てきていた

「葬儀をするということはこういうことなんですね。」と
ペット葬祭の方に言った
「そうですねー。気持ちの整理がつくでしょ〜。」と

娘は
「ボクちゃんおらんやん???」
ととても不思議そうな顔をしていた

「これ(骨)がボクちゃんやで」と説明した

「ふーーーん…。」

拾骨の時電車が通った
ちょっとうるさい場所で火葬されたんやなぁって思ったが
すぐに弟のマンションも電車沿いにあることを思い出した

あぁ、ボク寂しくなかったやろな
天国に上るのに…。と思えた

葬儀会社の方にもそれを伝えると
「きっと懐かしんでるでしょうね」
と言ってくださった

食べたものが消化されていないものもあったので
「きっと満足したまま亡くなったと思いますよ」
と言ってもらえた

中型犬でも少し大きめだった(13、4kg)ので骨壷を二つにしてもらった
あまった骨と灰はお墓に入れておきますとの事だったが
他の犬とあまりなじめなかったボクだったので
全部貰っておいた

「散歩道に散骨します」と

まだ暖かいボクの骨を抱えて帰った
本当に終わったんだなぁ…。
 
夕方、人間の葬式の後のようなつもりでお寿司を買いに
花屋でかわいいマーガレットも買った

一枚だけ残っていた若かりし頃の写真を飾ってお供えした
猫の龍之介も一緒に写ってるがたぶん天国だろう
オスは家出をするから…。
龍之介が未婚のボクの乳を吸って母性本能を目覚めさせ
他の猫達もボクが育てたっけ…。 

写真のボクは困ったような、怖がったような顔している
嬉しいときは笑ったような顔だったっけ
かぁちゃんが、おかぁちゃんに夜中追い出された時付き合ってもらって
助けられたよ。ありがとう。

おつかれさま。
ゆっくり休んでね。
ありがとう。