心の隙間を埋めるもの 9

(続き)


それからワーカーにもうひとつ言われたのは、やはり
「弟さんのことだけでなく彼女さんのことも手放していかないと
いけないと思うんです」

と言うことだった

そうだろな

そうなんだよな

私が彼女に伝えたことは結構いい線行ってるのかは謎だが

的外れでもないと思う

だからワーカーからもそこまで伝えたのなら後は

彼女に任せるしかないと言うことだった

「忍耐が必要だと思います」
「手を出すのは簡単だけど、出さずに待つと言うことは忍耐のいることで
手助けするより大変なんです。」

そうなんだよ

だから私は飲み続ける母を目の前にして、口も手も出さないことが

辛くてしかたなかった

だから保健所の精神保健相談員の方の提案に乗って家を出た

物理的に離れることで目の当たりにする苦しみはないからと

けど、依存症は強力だった

無力を認めたはずだったのに、私はいつも有力になろうと

やっきになった

どこまで行っても逃げは出来ない

自分の生き方に深く根付いた強迫的なものだから


でも、自分の担当ワーカーに電話してよかった

ミーティングで半ば愚痴ってきたが、怒りはある程度吐き出せたものの

自分の取った、取ろうとしてる行動の方向は間違ってないと思ったからだ

実際に弟に医師に自分の病状を伝える能力を欠いていたとしても

弟がこれから自立していかないといけないことに変わりはない

それには私がきちんと新しいやり方で距離を取り

対処していくしかない

私はもう潰れて鬱に落ちたくない

これ以上巻き込まれて今以上には感情の捉われに陥りたくない

私には今の家庭があって、その中で自分の役割を果たす義務がある

それにもうこれ以上家族のお荷物になりたくない

でないとまたほんまに死にたくなるから


アディクションは何も解決してくれない

今までは時には生き延びるのには必要だったと思うけど

心の隙間を埋めるものは、他の何かだろうけど

まだ私は知らない

いや、ミーティングを通して得た仲間なのかも知れないな

ま〜、次の水曜日にはワーカーに面談を申し込んだ

手放す為に