闇 5

(続き)


パパが前の会社を辞める朝

辞令をもらったら終わりだと

ウィスキーのミニボトル数本を

ストレートで煽った

パパはキレて娘を連れて辞令をもらいに行った

そこまでしても辞めるのか!

と世界の終わりを感じた

どん底


私は前の親方日の丸な会社との違いに全然慣れない

それに子供もパパの協力があると思ってたから

二人でなら育てられると思ってた

私はパパしか頼れないのだから

パパもそれが分かってると思ってた

けど、身内贔屓を気にしてパパは誰よりも頑張ってた

それがまた、最悪なことに私は辛くて

更に義母達を恨んだ


長年恨み続けてて、いろいろ世話にもなったけど

肝心な時にパパを取り上げる

だから私はあの人達が嫌いだ


ぶらぶら買い物の後、娘にクレープを買ってやった

パパも食べてて私は待ってて

その時だったかに気がついた


『そもそも私がパパに惹かれたのは?』
『同じように家に居場所もないと感じてて境遇も少し似ていたから』
『私とパパは同じように親を恨んでたりしたから』
『私達は同じように親に頼れないもの同士だと思ってた』
『なのにパパには愛しのママンがいるのは何で?』
『全然、私と違うやん!』
『私にはなくてパパだけがいっぱい持ってるやん!』

でパパに少し吐いたら
「別に騙すつもりはなかったんやけど」

とそんなゴムタイナこと言われてもって顔をしていた

分かってるよ!

ゴムタイナことってのも!

だけどそう思ったっちゅうか気がついたんや

私は結局、パパとも自分を同一視してた

違う人間なんやから考えも違って当たり前やのに

そうだと思い込んでいた

だから、パパが私の気持ちを伝えても伝わらないのが

理解出来なかった

でもやっと分かったわ!

パパは私とは違う

パパは頼れる親を持っている

心に余裕もあるだろうよ!


僻みも妬みも通り過ぎたから

鬱チックだった

これも自己憐憫とは分かってるよ

いつまでも浸っちゃいけないんだろう

ただ、嘆いておくの

だってやっと分かってショックやってんもん

アホみたいやけどさ

私はショックやってん!

全部まやかしやったっちゅうことが