同室の

母の病室は4人部屋だが、転院した時から隣のベッドの人は声も聞いたことがない

看護師さんの語りかけには返答があると弟は言っていたが

私は聞いたことがない

母の向かいのベッドのお婆さんは100歳

こちらはいつも苦しそうに胸を叩いていた

この方も経鼻栄養

昨日行った時には酸素マスクもされていた


母と対角線にいるお婆さんは比較的元気だったのだが

先週くらいから酸素マスクをされていた

それまでは娘さんらしき方の面会時にも達者に話しておられた

昨日は痰の吸引もしなきゃならなくなっていた


母はまだ本人知らないながら末期がん

だけども頭が痛いくらいで、胸の苦しみもなく

食事もきちんととれている

足腰が悪いから介助は必要ながら、化粧も出来る

末期がんでなければ、精神疾患がなければ

今後施設の検討もあり得るくらいに見える


あの病院は療養型なので、ベッドの回転も早い

ようは治る見込みのないお年寄りばかりだから

だから母も面談してからは早く入れたのだ

しかし、やはり療養型の現実は同じ部屋の方々にもやってきている

もしかしたら、明日か明後日に面会に行ったら

もう誰か居ないかも知れない

新しい人が入院の可能性もある

今はまだ、年齢も若い方だし元気な母だが

病気が病気

この先の1ヶ月、2ヶ月で、お婆さん達のような状態になっていくんだろう


母は同室の人に関しては何も言わない

気にならないのかも知れないし、現実を直視出来ないのかも知れない

今のところ呻き声がうるさいなども言ったりしないが

母の精神病はいったいどんなレベルにあるのか?

私には謎

敢えて聞くことも出来ないままでいる

同室の方が亡くなった時、母はブレないだろうか?

それすらも今の母を見ていたらわからない

自分のことしか見えていないように映る

かといって、自分の病気についても肺に影があることを知りながら

がんとも思ってもいないように見える

ほんとは嘘ではないか?という気になってくる

確実に母も同じ道を辿るのに


母はマイペースで話し、私も普通に受け答え

あの部屋で私らだけが今は異質だ